2009年5月15日金曜日

COHSMSの普及

建設業におけるリスクアセスメントは、まだ普及していません。

昨年、ある製造業へリスクアセスメント診断に行ってきました。
製造業の場合、事業場も労働者も固定していてリスクアセスメントの推進体制を構築し易い。事業場長が安全衛生方針を表明し、目標を設定して、ヒ ヤリハット活動を活発に行い、安全パトロールを実施していれば、リスクアセスメントの導入は容易です。トップによりスクアセスメントの導入を宣言し、役割分担を明確にすると共に教育を実施していけばスタートし、結果を見直して改善するサイクルを構築すれば、その後も継続していけると思われます。

しかし、建設業の場合、そんなに簡単にはいきません。
まず、事業場の場所や従事する労働者がその都度変わります。なおかつ契約形態が重層構造になっていて全体を統括的にまとめて推進しなければなりません。
 
COHSMSでは建設業の特殊性を考慮して店社が実施することと、現場が実施することの二つに区分しています。

現場で実施するリスクアセスメントが問題で、施工計画時に元請職員が店社が作った危険性・有害性のデータベースを使って、その現場のリスクの特定 をします。その段階では、作業の細かな危険源をすべて洗い出しているとは言えず、大まかな危険性・有害性の特定しかできません。目標設定のツールとしては最も有効な方法であるが......ジャジャ漏れのリスクアセスメントでは不安が残ります。

問題は、実際の作業に対するリスクアセスメントです。製造業の場合は同じ会社の従業員が行いますが、建設業の場合、事業者(協力会社)が詳細な作業方法を決め労働者に直接指示をします。いわゆる事業者の責任であり、言い換えれば、社員ではなく協力会社が作業手順書を作成して元請けの作業計画書との整合性の確認を取ることになっています。
 
協力会社が元請け会社の安全衛生協力会に入っていて、日頃から元請によるリスクアセスメント教育がなされていたら元請・下請一体の体制で実施できます。
しかし、昨今の価格競争の影響で、常に新しい下請業者が参入し、労働者も安全知識の乏しい新規入場者が多数を占めるようになっています。このような状態でリスクアセスメントの実施を叫んでも形骸化するだけです。

対策としては、元請職員がリスクアセスメントを良く理解し、協力会社に教育・指導できるようにしていくしかありません。

 

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