2009年9月28日月曜日

守秘義務違反

 技術士及び労働安全コンサルタントには、コンサルタント業務上で知り得た情報の守秘義務があります。これは単なる精神論ではなく法律で定められてこれを厳格に護ることによって技術士や労働安全コンサルタントの信用が成り立っています。
公平性を保たなければならない組織で、その守秘義務を犯した重大な事件が発覚しました。

 前原国土交通大臣から、JR西日本の宝塚線脱線事故に関して当時の国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の委員が調査・分析情報を当事者であるJR西日本前社長に渡していたという、倫理規範に違反する事実が発表されました。
 新聞等マスコミニュケーションは、山崎JR西日本前社長の不適切な行動に対して糾弾していますが、事故当事者に取って調査情報を入手したいというのは自然な行動と考えます。もちろん不適切な行動には違いありません。しかし、守秘義務を課せられている山口浩一元委員の情報漏洩及び委員会での当事者に有利になるような発言はあってはならないことです。また、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の佐藤泰生元鉄道部会長も数回、JR西日本幹部と会食し情報交換していたという信じられないことも発覚しています。倫理意識がない者が第三者的立場の委員会で活動することは間違いです。いくら罰則規定がないからとか、発言内容が取り入れられなかったので結果的に問題なかったという発言は問題です。

 メディアもこの山口浩一元委員の倫理違反についてもっと追求すべきです。山崎社長が詫びる写真ばかり掲載していますが、問題の本質は守秘義務違反です。守秘義務を堅持しなければ、せっかく一所懸命にまとめあげた資料や他の委員まで信用失墜します。守秘義務を護ってこそ社会から信用される存在となります。

 他にも国家公務員、裁判官、医師、弁護士、ISO外部監査員など守秘義務が課せられていますが、情報漏洩が後を絶ちません。技術士や労働安全コンサルタントには法律で守秘義務を規定され、遵守する義務を負います。

技術士法 第45条
「技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなつた後においても、同様とする。」と定められています。違反者は最高1年の懲役又は最高50万円の罰金に処せられます。

労働安全衛生法 第86条
「コンサルタントは、コンサルタントの信用を傷つけ、又はコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならない。(2)コンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。コンサルタントでなくなつた後においても、同様とする。」と定められています。違反者に対し、第85条の(2)において労働大臣は、コンサルタントが第86条の規定に違反したときは、その登録を取り消すことができるとなっています。

技術士や労働安全コンサルタントの中から、このような不祥事を絶対に出したくありません。

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