2009年10月12日月曜日

山のトイレ事情

山で一番気になるのはトイレです。通常は登山口や山小屋で大便を済ませるのですが、どうしても山行途中で行きたくなることがあります。緊急事態の場合はどうしても野外で用を足すしかありません。以前は大便のことを「キジ撃ち」、小便のことを「ハト撃ち」、女の人の用足しを「お花摘み」と呼びました。

しかし、今、登山道から林の中に入ると白いものが散乱していて異様な状態です。ティッシュペーパーが分解されずに残っているのです。高い山ではバクテリヤが少なく、自然浄化作用が働きません。昔は山の水を美味しく飲んでいたのですが、もう大腸菌に汚染されていてほとんど飲むことができません。

高山の山小屋にはトイレが備えられています。今まで、ほとんどのトイレが地下浸透式でトイレットペーパーは別の箱の中に入れる方式でした。登山客が少ない間は、自然浄化作用で自然界に対する負荷も大きくはなかったのですが、深田百名山を利用したツアー登山のおかげで、あまり訪れる人が少なかった山にも、ただピークを踏みたいだけの人が押し寄せ、自然浄化では処理できなくなっています。

山に囲まれた尾瀬では地下浸透方式だと長い年月の間に汚染が蓄積されてしまう恐れがあります。そこで尾瀬のトイレには全て合併処理浄化槽が設置され、汚水を湿原に流れ込まないように配慮されています。トイレットペーパーなどの固形物は脱水・乾燥した後にヘリコプターで域外に搬出しています。しかし、その維持管理に多大な経費がかかり、1回100円の協力金を支払う仕組みになっています。したがって、尾瀬では絶対に「お花摘み」や「キジ撃ち」をやってはいけません。


尾瀬沼の公衆トイレで合併浄化槽で浄化して放流しています。ちなみに、屋根の妻部に付いているカメラは、尾瀬のホームページで有名なライブ映像のカメラです。

沼尻にあるトイレですが下のタンクにためて、ヘリコプターで搬出しているようです。

尾瀬の関連情報は、こちら

米国のグランド・キャニオン河川管理事務所では携帯トイレとして十分な容量の容器と知識、そしてすべて持ち帰るという誓約なしにはどんな川旅も許可されません。犬の散歩ではビニール袋を持って生暖かい犬のウンコをつかんで持ち帰っていますが、山でも自分のウンコは自分で持ち帰るのが当然であると思います。犬のためにできることは自分に対してもできないといけません。このことが当たり前になると、野外でのびのびとウンコする方が気持ちがいいかもしれません。ただし、それをザックに入れて持ち歩くことに抵抗感が残るかもしれません。

「山でウンコする方法」の著者であるキャサリン・メイヤーも「しかりと安全に処理すれば臭いがもれれることもないのだから、自分の大腸からビニール袋に移動した程度のことじゃないかという発想の転換をして欲しい」と述べています。

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