2009年12月10日木曜日

Karoshi

Karoshiは、日本語から派生した英単語です。

  なぜならば、「過労死」に対応する英単語が欧米社会には存在しません。しいて直訳すれば"death from overworks"または"work oneself to death"です。欧米社会ではあまりない現象で、日本の状況が特異な目で見られ報道されたため、そのまま"Karoshi"が単語として使われるようになったようです。
仕事のやりすぎで病気になって死ぬなんて、欧米人の人生観ではありえないのです。

  過労死とは、長時間残業や休日出勤などにより過重労働のため、精神的・肉体的な負担の結果、虚血性心疾患や脳血管疾患など致死的職業性疾病が発症したと判断されて労災認定がなされたものをいいます。厚生労働省のマニュアルでは、「過労死とは過度な労働負担が誘因となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化し、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、永久的労働不能または死に至った状態をいう」と定義されています。最近では過労による自殺も増えています。

  欧米社会は、個人主義が基本であり、技術者もプロフェッショナルとして個人が労働契約を交わし責任と権限を持って活動しています。日本人は、帰属意識と同調性が強く、立場を維持するために必死で働こうとします。それは悪いことではありませんが、身体を壊しては何もなりません。

  日本以外の発展途上国でも過重労働は多く発生し災害や疾病に至る事例が多いと思われますが、日本のように取り上げられることはありません。それだけ日本社会が欧米社会から異常な目で見られているということでしょう。ベトナムやインドネシアの日本の建設会社の工事現場は、欧米人と現地人スタッフが定時に帰り、日本人職員だけが夜遅くまで残って残業をしている光景を良く見かけます。よく働くのは美徳ですが、自分の健康を省みず働きすぎるのも問題です。原因として日本人特有の責任分担と部下のコントロール、契約社会の不慣れ、会話力の低さ、趣味の無さ等が障害になっていると思われます。

 海外の建設プロジェクトで働く場合、日本の労働基準法の対象外となるため、時間制限は自主的に設定するしかありません。月200時間以上の残業が連続するケースもめずらしくなく、言葉のハンディを越えて仕事をこなしつつ、労働時間を短縮するのは並大抵のことではできません。常に思わぬトラブルや労働災害が発生し、日本の会社の今後の大きな課題です。

  Karoshiを商売にする人までがいます。ニンテンドーDSのソフトで「Karoshi Suicide Salaryman」で、サラリーマンが働き続けて最後自殺するパズルゲームです。このようなゲームをなぜ許すのか、この国のやることはよく分かりません。

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