2010年3月10日水曜日

感染症の脅威

世界経済がグローバル化し、人と物が瞬時に行き交うようになると、人類に影響を及ぼす感染症が瞬く間に世界中に広がる危険性があります。

したがって、アフリカの遠い国で流行している出来事と傍観していると、いつの間にか我々の足元に迫ってくるかもししれません。
そのなかでもウイルスの脅威は深刻で、まだ治療法が確立していないものもあります。

代表的なものは、
1.エボラ出血熱 :フィロウイルス科エボラウイルスによる感染症。自然宿主は不明で、ザイール、スーダンで流行し、致死率は50〜89%

2.マールブルグ病 :同じくフィロウイルス科のマールブルグウイルスによる感染症。アンゴラ、コンゴ、ケニア、ジンバブエで流行。

3.ラッサ熱 :アレナウイルス科ラッサウイルスによる感染症。西アフリカに生息するマストミスが自然宿主で、西アフリカで流行している。潜伏期間は5〜21日で致死率は感染者の1-2%。

4.クリミア・コンゴ出血熱 :ブニヤウイルス科ナイロウイルス属に属するクリミア・コンゴウイルスによる感染症。
これらは厚生労働省の第1類感染症に分類されており、対処療法以外に今のところ治療法が確立されていません。

そのほかにも依然恐ろしい感染症があります。
5.狂犬病 :ラブドウイルスによる感染症で、多くの哺乳動物が自然宿主になっています。依然、世界中に広がっていて、動物に咬まれ発症した場合、致死率は100%といわれています。世界で年間5万5千人の人が死亡しています。しかし、咬まれた直後にワクチンを投与すると回復する可能性が高くなります。
東南アジアで野犬を多く見かけますが、絶対に近寄ってはいけません。

6.インフルエザ:インフルエンザウイルスはカモからいろんな動物に媒介されたといわれており、カモの体内には全ての型のウイルスが発見されています。インフルエンザは風邪と似た症状ですが、新たな新型インフルエンザウイルスが出現し、突然重篤な症状を示し、人類にとって危険なウイルスです。
今回のインフルエンザウイルスA/H1N1/Pandemic2009は、感染力は強いですが病原性が季節性インフルエンザと同程度であったため、人類に取って深刻な問題にまで発展しいと思われがちです。

今一番危惧されているのが、高病原性の鳥のインフルエンザウイルスの変異による人から人への感染です。
鳥にしか発症しなかったインフルエンザウイルスが変異して人へ感染する過程は次のように考えられています。
インフルエンザウイルスを腸管内に保有したカモが中国南部に飛来し、そこでウイルスを含んだ糞を排泄します。
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豚は、鳥のインフルエンザウイルスと人のインフルエンザウイルスの両方に感染します。
インフルエンザウイルスは8本のRNAを持っており、同じ豚の体内に2種類のインフルエンザウイルスが感染することになり、これら2つのウィルス間でRNAの組換えが起こり、人に容易に感染する新しいタイプのウイルスが誕生します。
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新型のインフルエンザウイルスが人へ感染します。これまでに以下のヒトの鳥インフルエンザ感染事例が確認されており、次の段階のヒトからヒトの感染が危惧されています。

私も先週、インフルエンザウイルスA/H1N1/Pandemic2009のワクチンを接種しました。まだ遅くはありません。少しでも基礎免疫を高める方が良いと思われます。

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