2010年3月3日水曜日

リスクアセスメントとKYの違い

建災防はKY(危険予知)活動にリスクアセスメントの手法を取り入れています。

では、KYはリスクアセスメントの一種などでしょうか。
どちらも事前に危険を洗い出して対策をとろうとする安全活動です。そのなかで、リスクアセスメントは労働安全衛生法で事業者が実施することと定められていますが、KYは労働安全衛生法に定められてなく、あくまで自主的な活動です。

リスクアセスメントの目的は、工事着手前にある程度時間をかけて危険性及び有害性を徹底的に洗い出してリスク低減対策を作業手順に反映させることです。それに対してKYは今からすぐ始まる作業や行動途中にその作業の中でどんな危険があるか特に重要なものを取り上げ直ぐに対策を立て実行することにあります。したがって、リスクアセスメントのように徹底的に危険性及び有害性を洗い出して対策を立てる時間的余裕はありません。どちらも重要な活動ですがリスクアセスメントとは手法が別物と考えるべきです。

KYはJAFの雑誌に毎回取り上げられています。たとえば自動車を運転している途中で信号にさしかかり歩行者がヨロヨロと歩いている。それに対して車道に飛び出すかもしれないから徐行しよう、今日は長距離を走るので眠くなるかもしれないので、早めに休憩を取るようにしよう、差し迫った危険性を考えるもので、リスクアセスメントのようにあれやこれや洗い出してリスクの見積もりをしている時間はありません。経験的にこの作業ではこういう危険があるということが判らなければなりません。その手助けとなるものがリスク評価表です。KYで危険性を発表するときに、前もってこの作業のために行ったリスクアセスメントを利用すべきです。せっかくリスクアセスメントを行っていてもKYや作業打ち合わせに利用されていないのが現状です。

KYにリスクアセスメントの見積もり手法を導入するのは良いと思いますが、逆にリスクアセスメントをKYのように簡単に終わらせては行けません。いろんな人の経験より危険性と有害性を徹底的に洗い出すことが最も重要です。リスクの見積もりは最も重要な要素ではありません。メンバー全体の経験レベルの違いにより見積もりも大きく変わります。ただし、見積もりは時間が解決することですが、洗い出しを十分行っていないと見積もりの意味がなくなってしまいます。

リスクアセスメントの普及はまだこれからです。

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